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イマージョンに対するキートスガーデンの考え方

イマージョンという言語習得プログラムをご存知でしょうか?詳細はwikipedia内のイマージョン・プログラム(URL)をお読みいただくとして、まずは同項目にある定義を以下に引用します。

イマージョン・プログラムとは、未修得の言語を身につける学習方法の一つ。没入法と言われることもある。目標とする言語の言葉だけを習うのではなく、その言語環境で他教科を学びその言葉に浸りきった状態(イマージョン)での言語獲得を目指す。1960年代カナダで始まり、2006年現在は世界各地の学校で導入されている。(以上wikipediaより)

最近、キートスガーデン幼稚園での英語活動についてよくお問い合わせをいただきます。それだけ期待をお寄せいただいているかとありがたく思いますし、効果的な方法について鈴木教授と綿密な打ち合わせをしていることもたびたびこのブログでご紹介しているとおりです。

先日も言語習得方法としてのイマージョン、特に園内すべての活動を英語で行なうトータルイマージョン(正確には園外での各家庭での英語環境を徹底することをトータルイマージョンといいますが)をどう考えるか議論をしたのですが、結論を言うと、キートスガーデン幼稚園ではトータルイマージョンは行いません。それは、我々が次のように幼児期のコミュニケーション教育を考えるからです。

i)思いっきり遊ぷ環境の中で、こころとからだを育てる

ii)こころの育ちの中には、自分やその周りの人・もの・ことへの敬意を育むことを中心のひとつととらえる

iii)それを伝えるコミュニケーション力を育てる

イマージョンは言語習得に大変効果的な方法ですが、背景となる文化にもイマージョン(没入)しないと真の効果があらわれません。したがって、文化への、この場合言い換えれば英米文化への没入に園活動のすべてをついやすことが、将来日本をはじめとした様々な文化に出会う素地を作る幼児期に適切と言えるか、という疑問が残ります

映画「ラストサムライ」(URL)、ご覧になりましたでしょうか?主演クラスの二人のやりとりが魅力的です。過度の欧米化を進める明治政府に異議を唱え、命を懸けて日本の伝統の大切さを説く渡辺謙演ずる勝元。明治政府の軍隊近代化のため米国から招聘されたものの勝元の捕虜となり、日本の伝統に触れていくトム・クルーズ演じるオールグレン。勝元は捕虜であるオールグレンにも最大の敬意を払い、信頼関係を築いていきます。

この映画を見ると、お互いに伝え合う「こころ」があり、「お互いを認め合う気持ち」があり、その上で「コミュニケーション」が意味をなすことに気づかされます。それぞれの立脚する文化や伝統がある一方で、それとは異なる文化・伝統がある、というギャップを認識し、お互いの認め合いにつなげるならば、やはりまずは自らの立脚する文化や伝統に親しむことも幼児期の大切なことがらでしょう。

そう考えると、英語をはじめとした他国語をバランスよく導入することが必要だと思います。発達段階を考えると、幼児期に馴染むべきは外国語の存在と、音声認識の分野です。読み、書きはもっと後での導入も可能ですが、「聞き取り」はやはり早いほうが良い、しかも遊びながらが一番良い、と考えますので、キートスガーデンでは、遊びながらの「聞き取り」「発話」を英語活動の中心に据えます。時間数はこどもたちの集中時間を考慮していますが、「もっとやりたい!」という子にも対応するため、現在再検討中です。

一方、まだ慣れない中での無理のある英語活動は逆効果だと思います。個性にあわせ、全体活動への導入時期も検討しながら取り入れていきます。

英語活動については、さらにカリキュラムを研究していきます。が、あえて繰り返しますが、決して英才教育的な英語活動ではありません。あくまで、こどもたちが無邪気に遊びながら英語に親しんでいく環境づくりを進めていこうと思います。

キートスガーデン幼稚園では、専門の幼稚園教諭・保育士スタッフがまず幼児教育・保育の本筋的な活動を進め、その上でスポーツ、コミュニケーション、徳育など、様々な展開をしていく予定です。

 

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